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2012-02-27

「山崎弁栄と井筒俊彦」

前回の記事では、
若松英輔氏の渾身作『井筒俊彦 叡智の哲学』及び
記念誌図録「山崎弁栄ー近代はなぜ「霊性」を必要としたのか」『山崎弁栄展 宗教の彼方、新たなる地平』
における若松氏の指摘、

「山崎弁栄と井筒俊彦(イブン・アラビー)との高次の類似点」

をご紹介しました。

今回は、創作メモ(覚書)的な内容となりますこと、ご了承願います。


弁栄聖者と井筒俊彦氏には現実的な直接の関係はなかったと思いますが、
思想的には、大変興味深い類似点があるように思われます。

井筒氏の主著が『意識と本質』であるとは、
衆目の一致したところだと思いますが、
もちろん、昭和24年発行の『神秘哲学 ギリシアの部』(2010年復刻版)
も必読書。

井筒氏は生涯、プロティノスに関心を持ち続けたようですが、
弁栄聖者に捧げられた書、
山本空外著『哲学体系構成の二途 -プローティーノス解釈試論-』は、
昭和11年に出版されています。

大変興味深いことに、
空外上人はその後、『一者と阿弥陀』を書かれています。


空外上人は確か7~8ヶ語を自由に話せた語学の天才であり、
大学者でありましたが、
何よりも生涯念仏に徹っせられた念仏行者であり、書の達人でもありました。

井筒氏もまた、空外上人を上回り、数十ヶ国語を話せたと噂される
超超人的な語学の大天才でした。

やはり、この語学の才は比較思想の研究上必須要件ではないかと思います。

また、弁栄聖者は、浄土系以外の仏教の祖師方の中では、
弘法大師空海を殊のほか尊敬されていたと思われますが、
空外上人はまた空海の書に賛辞を惜しみませんでした。

井筒氏は「言語哲学」の観点から空海に並々ならぬ関心を寄せていました。


また、井筒俊彦氏はロシア文学の愛好者でありました。
ドストエフスキー文学といえば、ロシア正教と切り離せませんが、
弁栄聖者とロシア正教との関係は、
今後の新たな研究テーマとなると思われます。

聖者のご伝記は、田中木叉著『日本の光』が知られていますが、
藤堂恭俊著『弁栄聖者』も存在し、
そこには、聖者とロシア正教との接点が暗示されています。

今後の重要な研究テーマ、

正教会の特徴である「イコン」、「聖霊論」と
弁栄聖者の「三昧仏」様、「報身仏(霊応身)」との関連。


世界三大宗教の一つであるイスラム教と弁栄教学との関連は、
今まで注目されてきませんでした。

若松英輔氏の指摘、
弁栄教学とイスラム神秘主義者イブン・アラビーの「存在一性論」」の類似点、
その比較研究も今後注目すべき点です。

「イブン・アラビーは「世界をあらしめる神」の働きが、
等しくあまねく存在することから、
それを「慈愛の息吹き」と呼んでいる。
・・・井筒が展開するのは、慈愛の現象学に他ならない。」

と。(若松英輔著『井筒俊彦 叡智の哲学』)


弁栄聖者は、阿弥陀如来を「大ミオヤ(大御親)」と呼ばれ、
聖者の「大ミオヤ」への信仰の在り方は、

「霊恋・霊的エロス」

とさえ表現しうる熱烈なものでもありますが、

この信仰の在り様は、
従来の伝統的な仏教にはあまり見受けられないもので、
むしろ、西欧の神秘主義者に類似点を見出しうるものなのかもしれません。

弁栄聖者とキリスト教と関連については、
空外上人、河波昌氏が、
クザーヌス、エックハルトなどとの類似点を指摘しています。

弁栄聖者創作の『如来光明礼拝儀』の内容及び形式は、
キリスト教との出遭いなくしては考えられません。
( 『如来光明礼拝儀』については、
河波昌著『如来光明礼拝儀講座』に詳述されています)

聖者が開国を迎える幕末にご生誕され、
20世紀初頭を迎える日本においてご布教された因縁、
大ミオヤの御計らいを思わずにはいられません。

井筒俊彦氏から連想される弁栄聖者の特徴点はまだまだあるのですが、
弁栄聖者の真の理解者は、伝統的仏教系以外から出るのかもしれない、
若松英輔氏の出現は、そんなことを連想させるものです。


聖者は生前、「光明主義が理解されるには、あと百年はかかる」

と言われていたようですが、

弁栄聖者ご遷化後百年、2020年まで、あと8年。
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Author:syou_en
山崎弁栄(べんねい)聖者(1859~1920)に出遇って初めて、各宗派宗教で説かれている教義、宗教体験が、腑に落ちました。

比較宗教、比較思想に一貫して関心を持ち続けています。

宗教には関心はあるけど、特定の宗派に凝ることには躊躇する。
そういう方も結構いらっしゃるかと思います。

そのような方は是非、弁栄聖者にふれてみてください。


(注)ツイッター(@syou_en)もあります。

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