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2012-02-23

「その人物を時代が忘れていたなら、私たちは思い出さなくてはならない。その人とは、山崎弁栄である。」(若松英輔『井筒俊彦 叡智の哲学』)

「むしろ、井筒と共鳴するのは、山崎弁栄である。」

と若松英輔氏は、「第十章 叡智の哲学」( 『井筒俊彦 叡智の哲学』 )で指摘しています。


若松氏は、以前から、越知保夫、小林秀雄、須賀敦子などの評論を、
『三田文学』に発表し、注目されてきた評論家。

また、企業家であり、クリスチャンでもあります。

若松氏は、昨年、『井筒俊彦 叡智の哲学』を出版し一躍注目を集め、
さらに、東日本大震災に対し「死者論」の観点から、
注目すべき発言をし続けています。


この著書が出版される前、平成22年10月31日に、
岐阜で開催された「山崎弁栄展」の記念シンポジウムで、
若松氏は、河波昌氏と対談を行っています。

また、記念誌図録『山崎弁栄展 宗教の彼方、新たなる地平』に、
若松氏は「山崎弁栄ー近代はなぜ「霊性」を必要としたのか」
との論考を寄稿しています。

「霊性」といえば、鈴木大拙を思い起こす人がほとんどだと思いますが、
大拙の先人として、若松氏は弁栄聖者を評して、

「「霊」、「霊性」あるいは聖性と
それに連環する言葉が論じられる頻度も深さにおいても、
霊の実相を高次な論理によって展開する透徹した実践者としても、
山崎弁栄は日本思想史においても類例をみない」。

また、

「二人の思想あるいは彼らが見た存在の光景は、
類似というにはあまりに高次な一致を指し示している。
山崎弁栄の「万有生起論」は井筒俊彦が強く影響を受けた
イブンアラビーの「存在一性論」を思わせる」。

とも。

私はこの論考を読み、とうとうこのような方が現われたか、
ととても嬉しかったことを思い出します。

弁栄聖者とキリスト神秘主義の関係については、
河波昌氏が指摘していますが、
自身カトリック信者でもある若松氏は、
イスラム神秘主義との観点から聖者に迫っています。

若松氏が山崎弁栄研究に入っていった契機は、
日本人の思想家への関心にあったことは勿論のこと、

私には、「神秘道者」井筒俊彦氏には若松氏が見出せなかったもの、
宗教家としての在り方、永遠のキリストの現存を、
弁栄聖者に見出したからではなかった、
と憶測しています。

ちなみに、若松氏の師である井上洋治氏は、
遠藤周作氏の親友として知られていますが、
法然上人にイエスの姿を見出した方でもあります。

若松英輔氏によって、弁栄聖者とイスラム神秘主義との関連が指摘、
実に興味深い、新たなテーマだと思われます。


近い将来、若松氏は「山崎弁栄論」をきっと書かれると思われますが、
若松氏がかつて語られた注目すべき発言をここに記しておきます。

ネット上を調べても、不思議とその貴重な発言がどこにも見出せなかった。


「もし井筒俊彦が生前、山崎弁栄を知っていたなら、
おそらくイスラム(神秘主義の研究)には行かなかったであろう。」
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syou_en

Author:syou_en
山崎弁栄(べんねい)聖者(1859~1920)に出遇って初めて、各宗派宗教で説かれている教義、宗教体験が、腑に落ちました。

比較宗教、比較思想に一貫して関心を持ち続けています。

宗教には関心はあるけど、特定の宗派に凝ることには躊躇する。
そういう方も結構いらっしゃるかと思います。

そのような方は是非、弁栄聖者にふれてみてください。


(注)ツイッター(@syou_en)もあります。

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