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2021-03-24

弁栄聖者百回忌記念出版書籍、図録等について


2019年、2020年は、
全世界的な未曾有のコロナ渦。
奇しくも、弁栄聖者御遷化(1920年)前後の数年間は、全世界的な未曾有のスペイン風邪の大流行がありました。

長引くコロナ渦にあって、
「わからなさ」、「異物」に対する人間の耐性の弱さ
また、現代社会、教育の弊害でしょうか、
「試行錯誤への許容度の低さ」
「他者との繋がりの実感を希求する根源的欲求」などを感じる事の多い日々を過ごす中、
弁栄聖者の著作等を拝読しながら、
「正見」、「一心十界」、「自由」、「利他」について、折に触れ、考えさせられる事が多いです。

弁栄聖者百回忌、御遷化後100年ということで、
聖者とご縁の深い組織、個人方が、
それぞれのお立場、お考えから、
記念出版として、書籍、図録等を発刊されています。

主だった出版物をご紹介いたします。
ごく簡単なご紹介となりますこと、ご了承願います。

多少なりともご参考になれば幸いです。


◎藤堂恭俊著『弁栄聖者』

2021032001.jpg

2020年12月発行、改訂増補版。
出版元は、「てるふる」。
浄土宗中堅の僧侶で、宗祖法然上人の精神に基づく、
「専修念仏(念仏為先)」、「慈善社会活動」、「教学研究」等の活動をされている、
弁栄聖者にも関心のある方々。

1959(昭和34)年、弁栄聖者生誕百年記念として出版後、
絶版となっていた藤堂恭俊著『弁栄聖者』の改訂増補版。
田中木叉著『日本の光(弁栄上人伝)』には記されていない史実の他、
著者の寄稿文、逝去直前に記した手記(詩歌)などを、
「光明随筆」として追加編集されています。

著者である藤堂恭俊氏は、
1918年11月和歌山県生まれ。
生後、京都信重院の藤堂祐範・くら氏の養子となる。
京都信重院住職、光明修養会顧問、
佛教大学教授、浄土宗総合研究所所長等の要職歴任。
1993年~浄土宗大本山増上寺第86世法主。
2000年12月14日遷化。

本書には、編者である金田昭教氏の、
長年に渡る弁栄聖者の御遺稿及び御遺墨等の調査研究の成果、
『百回忌記念墨跡仏画集  山崎弁栄』
の資料、知見等が多数反映していると思われます。
本文の内容精査、現代に相応した振り仮名表記、
新たな掲載写真及び文献資料等はもちろんのこと、
今回の増補改訂版で刮目すべき点は、
労作である詳細な「弁栄聖者略年譜」

本の書名とカバー仏画に、
著者と編集者の意図が込められていると推察されます。

著者である藤堂恭俊氏は、
増上寺の法主まで務められた浄土宗内の指導者。
浄土宗僧侶方は、通常、弁栄「上人」と呼ばれることが多く、
弁栄「聖者」と表記することは、
特に最近では、極めて稀だと思われます。
若松、金田両氏は、そこに着目され、解説されています。

なお、
当ブログでは、弁栄「聖者」と、「聖者」表記、敬称を用いていますが、
「学・行・徳・霊力」の全てにおいて、
豊かに発達した霊的人格(霊格)に結実、具足された方
において、
はじめて「聖者」と称されるべきで、
弁栄聖者とは、まさしくその意味での「聖者」の一人であると考えている為です。

また、カバ―仏画の弁栄聖者筆「法蔵菩薩五劫思惟図」
この遺墨は、「第四章ー伝道と自内証の体系化」の中表紙と同種のもの。
この仏画は一見、法蔵菩薩か観世音菩薩か迷う構図ですが、
それはともかくとして、
弁栄聖者の次に聖者の遺墨、遺稿等を目にされている、
と言っても過言でない編集者である金田昭教氏。
「十二光の体系化」
弁栄聖者の「如来からの使命」を看取された慧眼を感じました。

なお、聖者の高弟田中木叉上人によりますと、
「「法蔵菩薩は応身」とお説きになったのは、弁栄聖者だけである。」
(冨川茂筆記『田中木叉上人御法話聴書』)
とも。

弁栄聖者の直弟子田中木叉著『日本の光』の最後の文章と、
聖者に赤子の時に出会われた藤堂恭俊著である本書の最後の文章との違い。
そこは看過すべきではなく、
聖者のひ孫弟子に相当する現代の弁栄聖者信奉者に、
ある問いを投げかけている様に思われます。
すなわち、「十二光」への証入、開顕、体現を通じて弁栄聖者と対面する道、
それが現代の我々に求められている様に思われます。

批評家の若松英輔氏による解説、
「霊性の遺伝ー本書の解説にかえて」を掲載。

「一般財団法人 光明会」(通信販売)及び
Amazonでも販売


◎山崎弁栄『なにを求め、なにを仰ぎ、いかに実現するか』

202103202.jpg

2021年2月出版。
発行は、「光明主義文献刊行会」。

書名は、「ー光明主義の所求・所帰・去行ー」
の現代語訳になります。
弁栄聖者の御遺稿等の難解さの一因は、
言語表現の難解さによりますので、
時期相応の工夫だと思われます。

出版代表者は、近年、弁栄聖者関連の書籍を出版されている、
芦屋聖堂系在家の平澤伸一氏。

芦屋聖堂系とは、
弁栄聖者→笹本戒浄上人→杉田善孝上人の系譜に属する光明主義信奉者。
詳らかには存じ上げませんが、
杉田善孝上人の遷化後、
芦屋聖堂系とはいえ、幾つかの分派が生じている様です。

光明主義の真髄解釈を、戒浄上人のご指南に主眼を置き、
念仏における「起行の用心」(念仏における心(信念)の置き処)を極めて重要視し、
伝統的な「只信口称念仏」でなはく、
「心念(憶念)口称念仏」を強調

その懇切な丁寧なみ教え、
「入行の心構え 杉田善孝」を掲載。

称名はこの関門を叩くの声なり。
憶念はこの法蔵を開くの宝鑰なり。

(弁栄聖者『光明の生活』)
また、
「称名の音声に功徳があるのではない。」
「口に仏名を称えても、心が仏を離れては念仏三昧ではない。」

(『山崎弁栄 光明主義講話 大悲のことば』
山崎弁栄 述 中井常次郎 記)
とも聖者は仰っられています。

本書は、「ひたち屋書店」が出版元で、
「一般財団法人 光明会」(通信販売)及び
Amazonでも販売

なお、「ひたち屋書店」とは、
芦屋聖堂系というわけではなく、
広く弁栄聖者関連の書籍を取り扱っている様ですが、
Amazonでの紹介文によりますと、
「当店は光明主義を主唱した近代の偉大な思想家であり浄土宗僧侶であった山崎弁栄聖者関係の書籍を専門に販売しております。弁栄聖者関係の書籍はなかなか入手が困難ですが、何なりとご相談ください。」
とあります。


◎『真・善・美生活の賢者
 山崎弁栄とその影響者達』


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製作は、一般財団法人光明会 近畿支部 佐野成昭氏。

漫画伝道は、現代に不可欠な手段かと思われます。

ノーベル物理学賞受賞者の湯川秀樹氏と、
弁栄聖者、光明主義にご縁の深い、
数学者の岡潔及び山本空外両師との関係を、
ご存じの方は少ないかもしれません。

なお、作成者は、念仏の功徳が来世往生のみに限定されがちな偏見を払拭する為か、
この漫画では、弁栄聖者の”「奇蹟」的所業”が強調されていますが、
それは、聖者の三身四智の仏眼に依る「余光」、
すなわち、念仏三昧による不求自得の功徳の一面で、
その主眼は、衆生済度のための方便力(霊力)にあります。
念の為に付記させていただきます。

佐野氏は、ブログ、YouTubeでも情報発信中

「一般財団法人 光明会」(通信販売)及び
Amazonでも販売中


◎『弁栄聖者遺墨集 ー如来に心奪われてー
改訂版 新訳如来光明礼拝儀 法蔵寺版』


202103204.jpg

発行は、愛知県碧南市
弁栄聖者開山念仏三昧道場 
天王山 唯称院 法城寺 「弁栄庵」。

編集者は、法城寺第六世 石川乗願氏。
氏は、山本空外上人も尊敬され、
上人の遺墨等も収集されている様です。

なお、法城寺とは、
弁栄聖者が、「十二光の体系化」への契機となった、
極めてご縁の深いお寺。

HPは、「弁栄庵法城寺 Web山崎弁栄記念館」
なお、YouTubeでも情報発信中


◎『山崎弁栄没後100年記念
山崎弁栄と内村鑑三 
彼らは如何にして神秘の探究者となりし乎』


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岐阜県岐阜市にある、
「山崎弁栄記念館」発行図録。
光明会の組織とは独立した記念館。

批評家の若松英輔氏、
「霊性と宇宙の地平ー山崎弁栄と内村鑑三」の論考掲載。

なお、
批評家でありご自身カトリックである若松氏は、
内村鑑三氏の他、
藤堂恭俊著『弁栄聖者』では言及されていない、
弁栄聖者と同時代人である、
岡倉天心、西田幾多郎、鈴木大拙、柳宗悦各氏をはじめ井筒俊彦氏と、弁栄聖者との思想比較等も試みられており、
啓発されるところ多大です。

また、この図録の特徴として、
弁栄聖者を信奉されていたある信者一家への、
懇切丁寧な「お慈悲のたより」の詳細が掲載。
宗教者としての聖者の在り方の一端がうかがえます。
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テーマ : 宗教・信仰
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Author:syou_en
山崎弁栄(べんねい)聖者(1859~1920)に出遇って初めて、各宗派宗教で説かれている教義、宗教体験が、腑に落ちました。

比較宗教、比較思想に一貫して関心を持ち続けています。

宗教には関心はあるけど、特定の宗派に凝ることには躊躇する。
そういう方も結構いらっしゃるかと思います。

そのような方は是非、弁栄聖者にふれてみてください。


(注)ツイッター(@syou_en)もあります。

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