2016-07-18
福岡県直方市「長安寺」、大谷仙界上人と弁栄聖者のお墓参り


福岡県直方市下新入にある、「長安寺」。



少し先を左に入って、すぐ左の方向に進みます。


お墓は、少々分かりにく場所にあり、
突然お墓が現れ、こんな場所にあったのか!
と思われれるかもしれません。



弁栄聖者のご高弟のお一人、大谷仙界上人は、
第26世、第28世住職。
弁栄聖者は、
「仙界」という名を、
「上仙下界」という意味で、出家者として理想とするところ、
と仰られたとのこと。
(仙界上人の御尊父は、仙海師)
※第29世は、法嗣の大谷静道上人。
大谷仙界上人(明治十七年 1884年~昭和六年一月 1931年)、世壽48歳。
法名 一蓮社心誉不乱念阿尊仙界上人

↑ ○ ○ 弁栄聖者
波多野諦道上人 ○
大谷仙界上人
前回の記事にも書きましたが、
仙界上人の弁栄聖者の御随行は、大正2年からになりますが、
波多野諦道上人の御勧めによるもの。
この時期、波多野上人は仙界上人に、
「不断光の権化たる」弁栄聖者のご随行への慰労と激励のお手紙を出されています。
(田中木叉著『日本の光(弁栄上人伝)』)
『日本の光』には、記載がなかったと思いますが、
大谷仙界上人と弁栄聖者に関する貴重な逸話が、
岡潔著『一葉舟』の「弁栄上人伝」にあります。
「大谷上人が弁栄上人のお伴をしていると
夜弁栄上人のお部屋から「大谷、大谷」と声がかかった。
障子を開けて見ると、そこには金色の仏が蓮台に端坐しておられた。
これも妙観察智である。
翌日、弁栄上人は大谷上人に堅く口止めされた。」
この逸話の原典は、
『ミオヤの光』第4巻の「大谷上人の巻75頁~92頁」の、
「大谷上人の思ひ出 山崎辨誡」かと思われます。
信じ難い逸話だと思われる方が多いかと思いますが、
「人に如来様やお浄土を見せてやれる能力を得た人が仏眼である。」
(冨川茂筆記『田中木叉上人 御法話聴書』)


福岡県直方は、かつての日本最大の炭鉱地、筑豊炭鉱の地。
大谷仙界上人のお人柄は、いわゆる”川筋かたぎ”。
先日、NHKの「新日本風土記」で、『筑豊』が取り上げられました。
元炭鉱婦が語れていた、「人は我が身」。
明日をも知れぬ炭鉱で働く者同志の一体感、繋がりの強さを表しているのかもしれません。
福岡の民謡 「炭坑節」も、全国的によく知られています。






仙界上人が遷化されてから、約90年が経っていますが、
光明主義の伝統が受け継がれている様子がうかがえ、嬉しく思いました。

【棺桶の蓋(表)】
「南無阿弥陀仏
死して行く用意の棺と思うなよ
生まれし時の産湯盥(たらい)よ」



【棺桶の蓋(裏)】

「無量寿

臨終と吾は思わじ
大ミオヤの産みの悩みを只感謝して」

大谷仙界上人は、詩才がおありであったようです。
この棺桶の蓋の文字は、仙界上人の御生前の遺書。
なお、棺桶の蓋が汚れているのは、
約九十年の経年によるものではなく、
灯油をかけられ荼毘に付されようとしたまさにその時に、
菅野真定上人(元豊前善光寺住職)が、このまま焼いてしまうのは忍びなく思い、遺品として残されました。
その時の痕跡。
なお、大谷仙界上人は、
法友 中川弘道上人と共に九州光明会の発展に多大な御貢献をされ、
また、後に弁栄聖者の直弟子となられた、
佐々木為興上人、 田中木叉上人、鈴木憲栄上人等々の方々との、
「聖者へのご縁結び」にも、多大なる働きをされています。
また、仙界上人の御尊父である仙海師の形見であるお念珠を、
上人のご令嬢の八七子氏へ差し上げられた時に、
傍にあったちり紙に記されたという、
「形見とて色々あるは悪しかりなん
まことの形見唯一つやる南無阿弥陀仏」
大谷仙界上人の面目躍如の逸話ではないでしょうか。


弁栄聖者が印度から持ち帰えられ、
聖者の母親の菩提寺「龍泉寺」に植えられたものの一部を移植された菩提樹。
最後に、
今まで、弁栄聖者から大谷仙界上人へのお慈悲のたより、
「すべてを大ミオヤに御任せ申し上げて常に大ミオヤを念じ・・・」
としてよく知られていたものでしたが、
金田昭教師他の方々の、
精力的な、弁栄聖者の御跡の実地調査によって、その宛先が判明。
田代静子女史へのものとのこと。
最晩年、病床の身にあった大谷仙界上人は、
ご自身の『お慈悲のたより』上巻の第三十四の上方に、
「昭和五年十月三十一日
拝読の折 正に仙界の
為の御文とこそ
感ずれ」(直筆は片仮名)と記されているとのこと。
いわば、大谷仙界上人に宛てられた、
弁栄聖者からの「お慈悲のたより」でもあった、
と捉えることもできるかもしれません。
ご生前の杉田善孝上人が、
田中木叉上人からいつか発表するようにご依頼され、
宛先を捜し求められ、現在まで不明であったもの。
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