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2013-04-06

「竹には節がある。人間万事、時に節あり。時節を待つ事が大切である。(田中木叉上人)」(『田中木叉上人 御法話聴書』冨川茂筆記)

田中木叉上人の御法話は、行学両面における広さ深さは言うに及ばず、
日常生活への配慮、また、人情の機微に精通された智慧が、
本からも感じられ、大変感銘を受けます。

いわゆる「説教臭さ」とは、ほとんど無縁です。

木叉上人は、大変厳しい一面がありましたが、
また、慈悲と智慧にも溢れ、
御在世当時、信者から大変尊崇されていた大導師でもあったようです。

木叉上人が聖者に邂逅された時の逸話は、以前記事にしましたが、


今回は、正直、記事にすることを躊躇しましたが、
聖者ご在世中、つまり、今から百年ほど前のこと、
大変示唆に富む逸話でもありますので、
記事にしました。

その宗教が教団、つまり、人間集団になれば、
通常の日常生活で起こりうることは、
大小の差はあれ、宗教教団といえども、起こりうることかと思われます。

弁栄聖者ご在世当時、
信者同志の間で、世間的にはもちろん教団内においても、
非難されかねない事態が起こったそうです。

その事態を知った信者が会を心配して、
田中木叉上人にその者に注意するように強く要請しました。

思い余った木叉上人は、
「注意をしたものでしょうか」と弁栄聖者にお尋ねになりました。

前回の記事では、聖者のお金を使い込んだ者に対し、
「警察に届け出るように」
との聖者の意外なご指示に関する逸話でしたが、

今回の事態に対して弁栄聖者は、

「注意をするな」と、これまた逆の意味で、意外なご指示でした。

木叉上人は、こんなことは倫理的に許されることではない、
弁栄聖者の真意が量り難いと思い、
念のために、聖者に再確認されると、

「いやそうではない。
如来様が付いていて下さるから、詣って念仏さえしておれば

と、聖者から大説法をたまわったそうです。

前回も記しましたが、
もちろん、これも、三身四智の聖者
弁栄聖者の了々たる「大円鏡智」と豊かな「妙観察智」による衆生済度の働きであり、

この逸話も、一般化できないことであるとは思います。

また、これは、親鸞聖人が注意された「本願ぼこり」
つまり、「弥陀の本願があるので悪いことをしても凡夫は救われる」、
ということではないか、との疑義も生ずるかとも思われます。

「道徳は、救いの条件に非ず、救いの結果なり。」(『田中木叉上人御法話聴書』)

と、木叉上人はご説法されています。

もしも、「克己心」のみで、「道徳完備の人格」が陶冶されるのであれば、
宗教、つまり、神や仏は必要はないとも思われます。

また、木叉上人は、「本願ぼこり」はもちろん「凡夫ぼこり」も戒めておられます。

「凡夫ぼこり」とは、「凡夫を看板にしてなまけることの言い訳」とも。

「私のようなものは、とても・・・というのは、
如来様に対する不遜な態度である。」


それは、謙遜ではなく、如来様の御力を見くびっているのだと。

木叉上人は、目を、
私ではなく如来様に向けるようにいつも注意されていた
ようです。


話を戻し、この事態の後日談を記します。

しばらく後に、

「一日三千礼の懺悔念仏をして」、キッパリと手を切ったそうです。

「もしも、自分が注意をしていたら、
その者はキッパリ来なくなり、(念仏とも会とも)縁が切れてしまう。」

そうすると、このような事態でありうる最悪の事態
ということになってしまったかもしれないと、
田中木叉上人は実感をもって語られています。

また、この逸話の時期は、
木叉上人が弁栄聖者に邂逅してまだ僅かの時期でありましたが、
反省もされ、また、聖者の衆生済度の力量を印象付けられたようでした。

「竹には節がある。人間万事、時に節あり。
時節を待つ事が大切である。(田中木叉上人)」
(『田中木叉上人 御法話聴書』冨川茂筆記)


深い「人間観・人生観」と「宗教体験」をうかがわせる言葉かと思われます。
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Author:syou_en
山崎弁栄(べんねい)聖者(1859~1920)に出遇って初めて、各宗派宗教で説かれている教義、宗教体験が、腑に落ちました。

比較宗教、比較思想に一貫して関心を持ち続けています。

宗教には関心はあるけど、特定の宗派に凝ることには躊躇する。
そういう方も結構いらっしゃるかと思います。

そのような方は是非、弁栄聖者にふれてみてください。


(注)ツイッター(@syou_en)もあります。

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