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2012-12-09

『法城寺住職斎藤乗願上人、今、生かされてありがとう -弁栄上人と井村和清医師-』

縁あって、この書と出会いました。

平成22年11月に、
愛知県碧南市にある法城寺の斎藤乗願住職が、
愛知県吉良町の徳雲寺でご法話されました。

そのご法話を聴かれた間瀬眞吾氏が大変興味を持たれ、
そのご法話を冊子にし、一粒書房から、

『法城寺住職斎藤乗願上人、今、生かされてありがとう-弁栄上人と井村和清医師-』

として、自費出版されたものです。

わずか60頁ほどの冊子で、二時間程度もあれば読める本ですが、
特に、弁栄聖者をご存じない方へ、是非お勧めしたい冊子です。

内容は、二部に分かれ、
前半は弁栄聖者のご紹介、
後半は、あの『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』と弁栄聖者とのご縁について、です。

私は、この冊子の後半部分に、特に感動しました。

『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』は、ドラマ化もされていますので、
ご存じの方も多いかと思います。

この著者である井村和清医師はクリスチャンであるにも関わらず、
二人の娘さんたちへ、手記の中で、
三十一年間の生涯で感銘を受けた五冊の本の最後に、

『無辺光』(講談社 山崎弁栄著)をあげられ、

しかも、

「(この本は)肺に肉腫が転移してから読みはじめた本です」と。

亡くなられる半年前のことです。

「『無辺光』は、内容が非常に難しい本ですが、
宇宙の真理について静かに語りかけてくれる本です」


とおっしゃられ、さらに驚くべきことに、

「棺の中に、この本を入れてください」

と遺言まで残されていた、というのです。

そして、

「お義母さまはその遺言通り、
棺の中の先生の胸の上にこの本をそっと置かれたそうです。」

この箇所を読んだ時、何とも言えぬ深い感動を覚えました。

実は、この冊子を推薦する理由はまだ何点かあります。

前半部で紹介されている、
『山崎弁栄展 宗教の彼方、新たなる地平』の図録は、
平成22年10月から11月に、
岐阜市の長良画廊で展示された弁栄聖者のご遺墨集で、
河波昌氏と若松英輔氏の記念対談も行われた際の記念図録です。

この図録は大変素晴らしく、弁栄聖者の資料としても大変価値があり、
できるだけ多くの方に、ご覧になっていただきたいものです。

斎藤乗願住職の論稿もあり、
聖者と法城寺との深い縁がうかがわれ、
しかも、弁栄教学成立史を考察する上でも、大変貴重な論稿であり、
こちらも、是非一読をお勧めします。

興味深いことに、この画廊もクリスチャンで、
その方が言われるには、

「キリスト教の人が書いた本を読むよりも、
弁栄上人が書いたものを読むほうがキリスト教が深く分かる」と。


河波昌氏は、現在、財団法人光明修養会の上首で、東京練馬の宗教法人光明園の園主という立場の方ですが、
氏の博士論文は、確か、キリスト教(と仏教の比較思想)研究であったかと記憶しています。
特に、ニコラウス・クザーヌスを高く評価されておられるように思われます。

若松英輔氏は、自身クリスチャンで、イスラム神秘主義の権威井筒俊彦研究者。
昨年、力作『井筒俊彦 叡知の哲学』を世に問うた方。

また、若松氏は、最近、弁栄聖者を積極的に紹介されておられるようです。

ちなみに、聖者ご在世中から、「耶蘇くさい」との批判は、あったようです。

今後、弁栄聖者とキリスト教との関係、
特に、「ギリシャ正教との関係」がクローズアップされてくると思われます。

〇「三身即一」と「三位一体」、特に「聖霊」の役割
〇「三昧仏」と「イコン」との関係


等々。

事実、だんだんとその気運が高まっているような気がしています。

また、乗願住職は、弁栄聖者と明恵上人との関連についても指摘しておられ、
この点も、大変興味深いと思われます。


最後に、斎藤乗願住職について、私の印象を少々述べさせていただきます。

『法城寺住職斎藤乗願上人、今、生かされてありがとう -弁栄上人と井村和清医師-』
の題名にもあるとおり、

乗願住職は、「弁栄上人」と言われています。

乗願住職は、弁栄聖者と空外上人とを尊敬されているようです。

このご法話をされた時は、おそらく、
空外上人の方により傾倒されておられたのではないかと推察いたします。

空外上人同様に「弁栄上人」と表現され、
大ミオヤの「光」の側面に焦点を当てられているからです。

ただし、空外上人も、ごく初期の著作では、
『辨榮聖者の人格と宗教』となっており、

「弁栄聖者」と表記されていましたが、
後には、「弁栄上人」と表記が変化しています。

弁栄聖者ご在世中は、
聖者のお弟子方は、「弁栄上人」と言われていたようですが、
ただ、笹本戒浄上人は特に、聖者ご在世中から、

「弁栄上人は、仏に在します」

と言明されておられたようです。

空外上人は、光明会史上、偉大な大先達の一人で、
法然上人と弁栄聖者の新たな現代的な顕彰のために、
出られるべくしてこの世に出られた方だと思われますが、
空外上人には、独自性があるようにも思われます。

空外上人は、惜しくも、ぎりぎりのところで、
弁栄聖者に、実際にはお会いになっていません。

私の印象としては、

空外上人は、「口称念仏」の大行者で、
その一筋の念仏行で開かれる「いのちの根源ーおかげさま」の境涯を、
見事に、宗教哲学、芸術に展開し、お示し下さいました。

一方、弁栄聖者の最大の特徴は、

「大ミオヤへの愛慕」の「憶念口称念仏」で、
釈尊以来前人未踏とも思われる甚深なるお悟りに悟入され、
そのご境涯を著作に遺されるとともに、
その全分度生の、宗教家としてのご生涯を貫かれました。


斎藤乗願住職は、弁栄聖者と因縁の深い愛知県法城寺のご住職で、
聖者と空外上人の信奉者。

乗願住職は、まだ、五十歳前後の方で、
この冊子からは、率直な方で、柔軟な方であるように見受けられます。

今後の更なるご活躍を祈念いたします。
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Author:syou_en
山崎弁栄(べんねい)聖者(1859~1920)に出遇って初めて、各宗派宗教で説かれている教義、宗教体験が、腑に落ちました。

比較宗教、比較思想に一貫して関心を持ち続けています。

宗教には関心はあるけど、特定の宗派に凝ることには躊躇する。
そういう方も結構いらっしゃるかと思います。

そのような方は是非、弁栄聖者にふれてみてください。


(注)ツイッター(@syou_en)もあります。

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